【BIツール別単語比較】あなたと私ではダッシュボードの意味が違うかも

【BIツール別単語比較】あなたと私ではダッシュボードの意味が違うかも

Clock Icon2023.07.10

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こんにちは、データアナリティクス事業本部の武田です。

今日は、BIツール別の単語比較がテーマです。

Tableau、Amazon QuickSight、Power BI、Looker Studioの4つのBIツールで比較します。

実は、同じ「ダッシュボード」という単語でも、Tableau、Amazon QuickSight、Power BIでは違う意味なんです。というか、今回確認した4つのツールで、全て同じ単語で全く同じ意味を持つ単語は、一つもありませんでした。

同じ単語でも定義が違うため、お互いに言っている意味がずれてしまい、会話が噛み合わなくなってしまいます。 特に、BIツールを乗り換える時や、ダッシュボード構築を外部に開発する時は、誤解の原因になってしまいますので、要注意です。

事前に単語の意味を確認しておくと、やりとりがスムーズになると思います。

機能ごとのBIツール別単語比較(日本語版)

ツールごとに微妙に定義が違っているものも多いため、単純比較にならないものがあります。詳細の解説をご確認いただければと思います。

BIツール Tableau Amazon QuickSight Power BI Looker Studio
取り込んだデータ データソース データセット データセット データソース
一つのグラフ シート ビジュアル ビジュアル グラフ
複数グラフをまとめたもの ダッシュボード シート レポート ページ
公開する単位 ワークブック ダッシュボード レポート レポート
公開すること バブリッシュ 共有 発行 共有
分析軸
(例)月別、商品別
ディメンション ディメンション ディメンション ディメンション
数値項目
(例)売上、利益
メジャー 測定 メジャー(注) 指標
画面入力での検索条件 フィルター パラメータ
コントロール
フィルター
フィルター
スライサー
コントロール
グラフ跨ぎのフィルタ フィルターアクション アクション クロスフィルタリング

機能ごとのBIツール別単語比較(英語版)

日本語訳が違う単語になっただけで、英語では同じということもありますので、英語版でもまとめてみました。

BIツール Tableau Amazon QuickSight Power BI Looker Studio
取り込んだデータ Data Source DataSets DataSets Data Source
一つのグラフ Worksheet Visual Visual Chart
複数グラフをまとめたもの Dashboard Sheet Report Page
公開する単位 Workbook Dashboard Report Report
公開すること Publish Publish Publish Share
分析軸 Dimension Dimension Dimension Dimension
数値項目 Measure Measure Measure(注) Metric
画面入力での検索条件 Filter Parameter
Control
Filter
Filter
Slicer
Control
グラフ跨ぎのフィルタ Filter Action Action cross-filterting

単語ごとの意味比較

同じ単語が出てきますので、単語を軸に同じ意味を指しているのかどうかを整理してみました。 ○と×は、Tableauと同じ意味かどうかで判定しています。

今回確認した4つのツールで、全て同じ単語で全く同じ意味を持つ単語は、一つもありませんでした。

それぞれのBIツールで、そもそもの思想が違っているためだと思います。

単語 Tableau Amazon QuickSight Power BI Looker Studio
データソース     ○                          ×(取り込み元のデータを意味する) ×(取り込み元のデータを意味する)        ○                          
ダッシュボード    ○                           ×(公開されたという意味) ×(Power BIサービス上の機能)   ー                        
レポート             ー                           ー                            ×(複数グラフをまとめたもの)                            ×(公開する単位)
ディメンション    ○                           ○                                 ×(カラムごとには決まらない)   ×(カラムごとには決まらない)
メジャー            ○                           ○                                 ×(カラムごとには決まらない、集計の意味がある)   ×(指標と呼ぶ、カラムごとには決まらない)
フィルター     ○                             ×(固定フィルタ) ○                            ×(固定フィルタ)    
コントロール     ー                           ×(フィルタとセットで動的フィルタになる) ー                             ×(動的フィルタ)    

単語だけではわかりにくいので、画面の中でどこを指しているのか詳細を説明します。

Tableau

取り込んだデータ

データを取り込んだものは「データソース」です。

1つのグラフと複数グラフをまとめたもの

一つのグラフは「シート」(下図の青い枠)で、それを複数まとめて配置したものが「ダッシュボード」(下図の赤い枠)です。

公開する単位&公開すること

作ったグラフをまとめて公開すると、「ワークブック」になり、 公開することを「パブリッシュ」と呼びます。 (Tableauの場合は、データソースを公開することもできます。)

ちなみにですが、ローカルに保存した場合、「ワークブック」を保存となります。

分析軸、数値項目

データ列の先頭に青と緑でAbcとかカレンダーのようなマークがあります。青がディメンション、緑がメジャーです。 青は分析軸になるもの、緑はデータを集計(合計したり平均したり)するものになります。

画面入力の検索条件

画面入力の検索条件は「フィルター」から設定できます。

グラフ跨ぎのフィルタ

ダッシュボードでフィルタとして使うグラフ側で、「フィルターとして使用」をクリックすると、そのグラフで選んだものだけで、別グラフを絞り込むことができます。これを「フィルターアクション」といいます。

もっと細かい設定をしたい場合、ワークシート→アクション→アクションの追加→フィルタから設定すると、より細かな設定が可能です。

Amazon QuickSight

取り込んだデータ

データを取り込んだものは「データセット」です。元データはデータソースと言います。

ちなみに、データセットには、毎回SQLでデータベースに接続しにいくモードと、データ保存できるSPICEという2つのモードがあります。 SPICEというのはAWSが用意したインメモリエンジンです。SPICEを使うと高速になります。

1つのグラフと複数グラフをまとめたもの

1つのグラフは「ビジュアル」(赤い四角部分)で、ビジュアルを複数まとめたものが「シート」(青い四角部分)になります。

公開する単位&公開すること

Amazon QuickSightだけは、少し他のBIツールと考え方が違います。

編集するダッシュボードを「分析」と呼び、「分析」を公開すると「ダッシュボード」になります。 つまり、「ダッシュボード」は分析によって生成された後のもので、編集ができない検索だけのものになります。

ちなみに、分析をダッシュボードに公開する時は、どのシートを公開するかを選択することができます。

分析軸、数値項目

データ列の先頭に青と緑で付箋のようなマークがあります。青がディメンション、緑が測定です。 青はデータを区切るもの、緑はデータを集計(合計したり平均したり)するものになります。 Tableauと同じですね。

画面入力の検索条件

Tableauはフィルタだけで画面入力することが可能でしたが、Amazon QuickSightは少し複雑です。

フィルター追加→シートに追加とすると、画面入力の検索条件を作ることができます。これをフィルターコントロールと呼びます。

グラフ跨ぎのフィルタ

アクションで設定します。

Power BI

取り込んだデータ

取り込んだものは「データセット」と言います。元データはデータソースと言います。 ただし、Power BI Desktop上では「データ」と表示されています。

1つのグラフと複数グラフをまとめたもの

1つのグラフはビジュアルです。ここまではAmazon QuickSightと同じなのですが、ここから違います。

複数グラフをまとめたもの(タブ)がページで、複数ページをまとめたものがレポートになります。

公開する単位&公開すること

公開する単位は「レポート」になります。公開することを「発行」と言います。

分析軸、数値項目

データを区切るディメンションと、データを集計するメジャーがPower BIにもあります。

TableauやAmazon QuickSightは、カラムごとにメジャーなのかディメンションなのかが決まっていました。Power BIにも、似ている概念はあるのですが、概念が少し違っていて、ディメンションの枠に入れるとそのカラムはディメンション、メジャーの枠に入れたらそのカラムはメジャーという扱いになります。

「この枠に入れる」というのが肝で、メジャーにしたいものとディメンションにしたいものは、なるべく別テーブルに分けて作ります。別テーブルに分けておき、お互いを関係付けることによって、絞り込みフィルタが柔軟に動くようになります。このテーブル構造を「スタースキーマ」と呼んでおり、Power BIでのダッシュボード構築の土台を支えています。

(補足)スター スキーマと Power BI での重要性を理解する

TableauやAmazon QuickSightは、メジャーかディメンションかで、青と緑の色分けがありましたが、Power BIのメジャーの場合はΣマークがつきます。

ただし、メジャーについては、注意が必要です。Power BIでのメジャーには、集計の意味もあります。

Power BIでいうメジャーは

  • 集計する列のこと(=Tableauでいうメジャー)
  • 集計そのもの(=sumやcount等の集計そのもの)
  • の二つの意味を含んでいます。

    ですので、Power BIでメジャーと言われたら、Tableau等で言うメジャーのことを言っているのか、集計のことを言っているのか、確認したほうがよいです。

    画面入力の検索条件

    画面入力の検索条件には、フィルターとスライサーという2つがあります。

    スライサーはTableauのフィルタアクションに近いイメージです。絞り込める機能をもったビジュアルです。

    フィルタはTableauのフィルタとほぼ同じです。画面から検索条件を入力して絞り込むこともできますし、入力させずに固定で絞り込むことも可能です。

    グラフ跨ぎのフィルタ

    特に設定しなくても、グラフの一部をクリックすると、他のビジュアルの該当部分が自動的に絞り込まれて表示されるようになっています。この機能のON/OFF切り替えはできません。テーブル間の関連があれば必ず絞り込まれます。テーブル間の関連を削除すると絞り込まれなくなります。

    Looker Studio

    取り込んだデータ

    データを取り込んだものは「データソース」です。

    1つのグラフと複数グラフをまとめたもの

    一つ一つは「グラフ」(赤い四角部分)それをまとめて配置したものが「ページ」(青い資格部分)です。それをまとめたものが「レポート」となります。

    公開する単位&公開すること

    公開する単位は「レポート」です。公開することを「共有」と呼びます。 また、レポートをそのままローカルへの保存することはできないですが、PDFへ出力してダウンロードは可能です。

    分析軸、数値項目

    TableauやAmazon QuickSightは、カラムごとにメジャーなのかディメンションなのかが決まっていました。 Looker Studioには、似ている概念としてディメンションと指標があります。 TableauやAmazon QuickSightと概念が少し違っていて、ディメンションの枠に入れるとそのカラムはディメンション、指標の枠に入れたらそのカラムは指標という扱いになります。

    TableauやAmazon QuickSightは、カラムごとにメジャーなのかディメンションなのかを事前に決めてからグラフに配置していきますが、Looker Studioは事前には決まっていないという違いがあります。

    画面入力の検索条件

    画面入力できる検索条件は「コントロール」で追加します。

    TableauやAmazon QuickSightには「フィルタ」というものがありましたが、Looker Studioにも「フィルタ」は存在しています。このフィルタは、コントロールで検索される前に事前にデータを絞り込むもので、コントロールのように画面入力によって条件が切り替わる動的なものではありません。

    グラフ跨ぎのフィルタ

    「クロスフィルタリング」と呼び、ON/OFFの切り替えで設定可能です。

    ただし、動作するには条件があります。思った通り動かない時は、下記を試してみてください。

    ふりかえり

    この記事をまとめて、「自分にとっての当たり前は、話す相手にとっては当たり前ではない」ということを常に頭に置いて会話しなければと、非常に強く思いました。まさか、同じ単語で同じ意味のものが、一つもないとは驚きでした。

    同じ単語でもツールごとに意味が違っていて、BIチームメンバー同士でも「あれ?」となることがあるのですが、複数のBIルールを跨いで会話をする時は、どのツールを前提として話をしているのかを確認してやりとりしていこうと思います。

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